北ア北部 鳩峰(1880m) 2011年10月29日

所要時間
 6:25 駐車場−−6:33 吊橋−−6:57 踏跡に合流−−7:30 1200m岩壁下−−7:47 1340m鞍部−−8:00 1400m株−−8:14 1490m峰−−8:36 標高1530m付近(休憩) 8:49−−9:12 1670m肩−−9:50 鳩峰−−9:57 鳩峰南峰−−10:13 1860m鞍部(休憩) 10:46−−10:49 鳩峰−−11:09 1670m肩−−11:41 1490m峰(休憩) 11:52−−11:59 1400m株−−12:05 1340m鞍部−−12:11 1200m岩壁下−どの尾根か迷う−12:23 正しいルート発見−−12:42 遊歩道−−12:49 駐車場

概要
 北葛岳から東に延びる尾根上にある山。登山道は無く地形図での検討と「等高線の狭間から」の記録を参考に竜神湖遊歩道吊橋のたもとから斜面に取り付き、1490m峰、1503m峰経由で山頂に立つ。取り付いた尾根より一つ西側の尾根にフィックズロープがあり、1490m峰までは目印多数で踏跡あり。1200m付近の岩壁は目印を無視して右を大きく巻いて1340m鞍部に出た。1490m峰からしばらく石楠花籔だが1600m以上は笹藪の連続。山頂は笹とシラビソ樹林。南峰付近の三角点を捜索したが笹藪で発見できなかった

 鳩峰は北ア北部北葛岳から東に延びる尾根上にある山で登山道は無い。主稜線から離れており登る人がいるとも思えず、ネットで検索した結果では2年前に登ったDJFの他には山スキーで登った1件だけであった。高さは1880mほどあり登らないのはもったいない高さだ。DJFは無雪期(正確にはうっすら積雪がある晩秋)に登っており、その記録を見ると籔は薄くはないが濃くもないようで無雪期でも充分登れそうな感触だ。もちろん残雪期の方が楽に登れると思われるが、地形図を見るとこの尾根の下部はどこも傾斜が急で雪が付いたら滑落のリスクが伴う。尾根下部で雪が消えて尾根上部で雪が残る時期が理想だが、わざわざそこまで時期を限定して登るような籔ではなさそうだ。今は涼しくなって籔漕ぎ最適期であり、天気予報は1日なら問題ないとのことで出かけることにした。ルートであるが地形図を見た感じでは高瀬トンネル南側出口付近の東側の尾根が最適と判断した。DJFとコースを変えてトンネル北側出口からとも考えたが、こちらは尾根ではなくただの斜面で登りはともかく下りは難しいため止めておいた。

高瀬トンネル南側出口の駐車場 通行止めの遊歩道入口

 豊科IC(そのうちに安曇野ICに名称変更予定)で降りて大町に向かい、いつもの扇沢や大谷原方面ではなく久しぶりに七倉、葛温泉方面に向かう。地図を見ると長いトンネルの出口が尾根取り付きなのでトンネルの出現に注意しながら進んでいくと大きな橋の次にトンネル登場、出口は短い橋を渡り終わって左側に駐車場があった。この県道はどん詰まりなので夜間の通行量は少なく快適に寝ることができた。

遊歩道は今でもきれいなまま 橋も通行止めだが立派で問題なし
龍神湖を渡る吊橋。これも立派 吊橋のたもとから尾根に取り付く

 翌朝、充分に明るくなってから出発。DJFの記録は軽くしか読んでいないがプリントアウトして持ち上げるので、いざとなったらお助けしてもらおう。DJFが登った時に既に閉鎖されていた遊歩道は今も閉鎖中で、注意書き看板の文字はほどんど消えていた。橋の入口も閉鎖されていたが見た目の強度的には問題なさそうなので安心して利用させてもらう。渡り終わって急斜面を巻くように水平に道が続き、どこかで上によじ登れそうな場所が無いか探しながら進んだがどこも急斜面の連続でそのまま進む。そして大きな吊橋で遊歩道が対岸に移るところでそこそこ明瞭な尾根が登場、ここもかなり急であるが何とか登れそうなので、ここから上を目指すことにした。

尾根下部の目印 石楠花登場

 DJFの記録では尾根上には目印多数だったとのことだが全く見当たらないし、踏跡らしい筋も見えない。どうもDJFが上がった尾根とは違うようだが、どのみち上を目指せば尾根が収束して同一ルートに乗るだろうとそのまま進む。最初の方に2か所赤テープが見られたが、本当に最初だけでそれ以降は人工物は見られなかった。傾斜もかなり急で登る場所を選ばないと転落しそうだ。下りに使うにはちと厳しいし、雪が付いていたらもっとヤバいだろう。

石楠花の森になってくる ここも石楠花
2つ目の目印登場 まだ石楠花

 すぐに尾根上は石楠花が出現、あまり濃いわけではないが邪魔なレベルではあり、安全に登れる尾根上になぜか群生していて跨いだり潜ったりしながら登る。まあ、石楠花のおかげで掴まれる場所が多くなり転落のリスクが低下して助かったが。でもやっぱ邪魔に感じる方が強いか。

踏跡のある尾根に出るとこのテープが多数登場 踏跡のある尾根を進む

 かなりの傾斜が続いて気を抜けない登りが続くが、標高約1000mで左から小尾根に合流すると明瞭な踏跡と多数の目印が出現した。どうやらDJFが辿ったルートに乗ったらしい。ほぼ必ず目に付く範囲に目印があるし踏跡もはっきりしていてそこそこ歩く人がいるようだ。でもDJFの記録によればこの道は鳩峰まで続いていないんだよなぁ。

標高1130m付近。尾根が立ちあがる 右に巻き始める

 いったん尾根の傾斜が緩んだ個所で尾根が痩せて檜の根が出た尾根を渡り、再び急な尾根に突入。石楠花が登場しても踏跡があるので楽チンだ。再び尾根の傾斜が緩むが標高1130m付近で尾根がバラけると同時に傾斜が増し、左上部には岩も見えている。左右には何となく巻道があり、どうやらDJFがルートを知らずに「強行突破」した岩稜帯の起点らしい。DJFによるとここは右に巻くルートが正解とのことで巻き道らしき筋を右に進む。

傾斜が緩まったところで上を目指す 左は岩混じりの急斜面
標高1340m鞍部まで安全地帯が続いた 標高1340m鞍部から下を見る。目印あり

 このまま道が続くのかと思ったら短い区間で消えてしまい目印も消失。でも岩場を右から巻ければいいので地形を見ながらトラバースを続ける。小尾根をいくつか越えてようやく上部の岩稜帯が消えてブナ林のおとなしい斜面が出現し、そこで上部を目指した。それなりの傾斜があって落ち葉で足元が滑りやすいが岩場ではないので安心して高度を上げる。上部は険しい岩場であり、ここから尾根に這い上がるのは不可能だろう。安全な地形が出てくるまでこのまま斜面を斜めに上がっていく。無事に出られる場所があるのか心配になるくらい長い距離を尾根を巻いて上がっていったがやっと安全地帯が出現、尾根に上がって地形図と比較すると標高1340m鞍部に間違いなかった。下山後にDJFの記録を読んでみたが私が歩いたルートはテープがあるルートより大きく巻いたようだったが、安全度は確実に高かったと思われる。

標高1340m鞍部から上を見る。目印無し 尾根が明瞭化する
標高1400mの株。ここだけ樹林が開けて明るい いよいよ石楠花が激化

 この小鞍部の先は尾根が不明瞭になって目印、踏跡とも見られなくなった。登りは上を目指せばいいので問題ないが下りで鞍部を外す可能性があり、2,3か所に赤テープを残した(しかし数が少なすぎて下りで発見できなかった)。尾根が明瞭になると再び踏跡が復活、目印も出てくる。標高1400mでは倒木の根元だけ残った「オブジェ」があり、ここだけは視界が開けて明るい場所でいい目印になる。それより上部は石楠花が濃くなるが踏跡のおかげで激藪状態ではない。ただし、1490m峰直下だけは尾根直上が激藪状態で、薄い所を探して右や左に迂回した。

1490m峰 西に向かう尾根も石楠花に覆われる

 石楠花籔を抜けると鳩峰東尾根に乗った。今まで北側の風景が見えなかったのが見えるようになるので(樹林が邪魔ですっきりは見えないが)すぐに分かり、東側は微小ピーク、西側は石楠花に覆われたなだらかな尾根が続く。ここでルートは左(西)に折れる。やっと中間地点といったところだろうか。

1490m峰〜1503m峰鞍部。石楠花に覆われる 1503m峰。ここも石楠花

 西に進むとこれで目印は終わりだったが、少しの間は何となく踏跡が見られる。しかし鞍部までにそれも消えてしまい、1503m峰の少し先まで石楠花籔が続いて鬱陶しい。まだ標高が低く枝分かれが少ない立った石楠花なのが幸いだ。これが低木だったら跳ね返されてしまうだろう。

1503m峰を下る。ここで笹に切り替わる 樹林の隙間から見た蓮華岳
熊棚多数 背丈ほどの笹が続く

 1503m峰を越えて本格的な登りが始まるとやっと石楠花から解放されて背の高いシラビソとダケカンバ樹林の下に生えた笹が主体の籔になる。笹藪漕ぎの前に休憩。笹の高さは登りでは顔の高さ程度で視界が遮られることはなくルート判断は楽で、密度もそれほどではなく両手で平泳ぎのように掻き分ければ開いてくれる。DJFの時と違って今日は快晴、おまけに気温は高めで寒さは感じず笹に露が降りることもなく乾いていて籔漕ぎに最適だった。ただ、笹は途切れることがなく延々と続き、両手も延々と動かし続けるので腕が疲れた。また、顔の高さに笹の葉が来るため、その葉で顔を切りつけられて顔が痛かった。また、手袋と長袖の袖の隙間も笹の葉攻撃を受けて傷だらけになってしまった。もちろん籔ゴミを頭から被って背中には大量のゴミが入り、髪の毛の間にもゴミが入ってきた。籔の密度は大したことはないが長時間の籔漕ぎはきつい。

標高1650m付近の肩。ここだけ笹が切れる 再び笹藪に突入
木の根元の穴。こんなものが多い 笹藪の中
樹林の隙間から見た北信の山 標高1810mの目印

 標高1650m付近で小さな肩が出現、ここだけはシラビソ樹林の下の笹が消えて無茶苦茶歩きやすかった。しかしその籔がない距離は僅か2,30mで再び笹藪斜面に突入、今までと変わらないレベルの笹藪が続く。標高1810mで右手から太い尾根が合流、DJFが下山時に引き込まれた尾根に違いない。下りを考えるとここは目印を付ける必要があるが既に赤テープが設置されていた。ということはDJFが登った後に登った人がいるということだ。それも無雪期に。このテープは細い灌木の枝を何本かまとめて巻きつけられているので、雪がある時期は笹と一緒に横倒しになって雪の下だろう。

さらに笹藪尾根を登る 鳩峰最高点。DJFの黄色テープあり
山頂西側の様子。急に籔が薄くなる 最高点西側の赤テープ
鳩峰西側から見た烏帽子岳 鳩峰西側から見た野口五郎岳
鳩峰西側から見た爺ヶ岳

 シラビソ樹林が濃くなっても笹の密度は変わりがなく、なおも笹を漕いで高度を上げる。休憩から約1時間、笹藪を漕ぎ続けてようやく鳩峰最高点に到着。ダケカンバとシラビソと笹に覆われ、残念ながら展望は無い。DJFが木に巻いた黄色いテープは健在で、落書きを追加した。他に目印が無いか探したところ、僅かに西に下った木に、標高1810mで見たのと同じテープが巻かれていた。それより西側に行くとシラビソ樹林が深くなったせいか笹の高さが低くなり歩きやすそうだ。僅かな樹林の隙間から北アルプスの所々を眺めることができた。

南峰へ向かう 南峰との鞍部。笹が切れて休憩に適する
南峰の登りにかかるとまた笹登場 南峰最高点。笹藪に覆われる

 さて、DJFが発見できなかった三角点探索に向かう。地形図を見た感じでは南峰を僅かに東に下った尾根の南縁にあると思われる。今日はDJFが登ったっ時より格段に条件がいいが発見できるだろうか。南峰に続く尾根も最初は笹藪だが鞍部付近は笹が切れて地面が出たシラビソ樹林で休憩にちょうどいい。これで展望があれば言うことはないのだが背の高いシラビソで展望皆無だ。南峰に緩く上がると再び笹藪登場、そして南峰最高点も笹藪に覆われていた。頭上だけは開けて明るいが周囲の樹林の高さが高いのでここも展望皆無だった。地面が出ている場所は無く全て笹に覆われていた。これは三角点探しが大変だ。東に向かい、できるだけ尾根の南縁を行こうとするが、これがまた笹が濃くて思い通りに進めない。あまりに笹が濃い場所は迂回して裏側から突っ込んだりと、できるだけ尾根の南縁を進んだが一向に三角点を発見できない。地形図を見る限りは最高点からさほど離れていない場所にあるはずで、それなりに進んだ場所でも見当たらず山頂に戻りながら再度探索。今度は尾根の真ん中付近も捜したが見当たらず。GPSに三角点の緯度経度を入れておけばもしかしたら見つかったかなぁ。

 南峰最高点に戻り、改めて周辺を捜したが発見できず諦めることに。北峰との鞍部の籔が切れた場所で休憩。樹林で日当たりが無くこの時期なら寒いはずだが今年は秋になっても気温が高く、この標高でも防寒着を目いっぱい着こむ必要はなかった。

鳩峰山頂を出発 下りの笹籔は登りよりずっとまし
標高1650m付近の肩からの下り。ここだけ傾斜が急 1490m峰

 充分お休みして下山開始。1490mピークまでの主稜線は標高1810mの尾根分岐で直進しないよう注意すれば、このお天気なら視界充分で他の場所で迷う心配はなく安心して歩ける。おまけに笹も下りならさほど苦労はしない。1810m地点は先人の赤テープのおかげで問題なく通過、その後の笹尾根も順調に下る。ただ、笹藪の影響でズボンの裾が自然にめくり上がって脛がむき出しになってしまい、笹と細い灌木で脛が傷だらけに。あまりにめくり上がる頻度が酷いのでスパッツを装着した。

1503m峰手前で石楠花藪突入 1490m峰
1490m峰直下の石楠花激藪 標高1400mの木の根ポイント

 1503m峰が接近して石楠花籔に突入、やっぱ笹より手ごわい。こつは登りでも下りでも厄介さに大差はない。1490m峰で休憩。この先の急な尾根の方が今までより迷いやすいので要注意だ。初めは石楠花籔を突破、踏跡が明瞭になれば歩きやすくなる。1400mの朽ちた木の根展望ポイントを通過、標高1340m鞍部手前の尾根がバラけて踏跡、目印が無い斜面は樹林で視界が悪いが前方の地形を注意深く観察しながら下り、進路を左に振って無事鞍部に着地。

標高1340m鞍部で左に巻き始める なおも尾根を巻くが下りすぎてしまったらしい
この尾根は誤り この尾根も誤り
もっと南下してみる やっと正しい尾根発見!

 ここで尾根を離れて左を大きく巻いて岩場混じりの尾根直下を下っていき、傾斜が緩んだところで右に進路変更して尾根に戻る。ところがここで戻ったルートは往路とズレがあったようで、残した目印が見あたらない。地形的には広範囲で似たような感じであり、トラバースする踏跡らしき筋もあってぱっと見で往路と同じに見える。小尾根も下っているのだが目印や足跡が見られない。試しに2つばかりの尾根を下ってみたが目印、踏跡とも現れることがなく往路とは別の尾根だった。もう少しトラバースを続けてみることにして横移動すると往路では見なかった個所で(往路と別ルートを歩いているので当然だが)目印のテープを発見、そのすぐ先の明瞭な尾根上に目印と踏跡があってほっとした。どうも往路よりも下りすぎたようだ。

目印が多い 尾根が広がり籔が薄いところがルートが薄い
龍神湖 トラロープが流してある場所が多い
尾根末端手前で左に下った この電柱が踏跡入口

 しばし傾斜が適度な尾根が続くが急な下りになると尾根が不明瞭になって踏跡も不明瞭になる個所があり、下手に下ると絶壁で下れなくなる可能性もあるので慎重に目印と足跡を探して進んでいく。急斜面を突っ切って小尾根に乗ると再び道が明瞭化し、これ以降は外すことはなかった。往路ではこの尾根ではなく違う尾根を登ってきたが道の最後はどこに着地するのか確認するために目印を辿った。この尾根も下部は急だが手掛かりが多くあまり危険は感じなかった。トラロープも頻繁に出現し、超マイナーな籔山の踏跡にしては手がかかりすぎている。眼下に遊歩道が見えてきた段階で尾根左の浅い谷に下って道に出たが、正確な踏跡の出口はそこから50mくらいトンネル寄りの位置に立つ電柱で、そこから斜面にトラロープが垂れていた。

確かに尾根下部は花崗岩が多かった 駐車場到着

 遊歩道を戻り通行止めの橋を渡って駐車場に到着。着替えてしばし昼寝タイムだが、意外に車が駐車場に立ち寄っていた。

 

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